wolframsのブログ

金融関係の仕事をしています。読んだ本や雑感などつらつらと書いていこうかと思います。

日本文化私観

坂口安吾著の日本文化私観は、何度も読み返してしまうとても大好きな文章だ。
坂口安吾 日本文化私観


高校から理系を選択してから、興味の中心は数理的なことになってしまったが、小学生の時は国語が好きだった。
もっと言えば、本を読むことが好きだった。

理由は簡単で、本を読むと、自分が漠然と考えているけど言語化できないことが、自分よりもはるかに知識と経験を持った人たちによってはっきりと文章化されていたからだ。
「あー、そうだよね」「そういう風に言いたかったんだ」という感覚かな。

だけど、いつからか読書してもそういう感覚を感じなくなってしまった。
これは年齢を重ねて思考の柔軟性を失くしたからなのか、落ち着いて読書できていないからなのか、はたまた知識と経験が重なって思考の言語化ができるようになったからなのかはわからない。

自分がいつ初めて日本文化私観を読んだかは覚えていない。
この文章は、自分が今まで触れたものの中でも圧倒的で、今読んでも昔読書が好きだった時の感覚を思い出させてくれる。
書かれたのが戦前だというのが信じられないほど、新しくて確固たる信念が感じられる。

こうやって過去に書かれたものに触れられる現代はとても幸せだと思った。
またこういうものに触れるため、読書は続けていかないとな。